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トイレの個室は「心や体に目を向けるタイミング」だからこそ疾患啓発とマッチする。

アストラゼネカ株式会社

トイレの個室は「心や体に目を向けるタイミング」だからこそ疾患啓発とマッチする。

公開日:2025.2.26

アストラゼネカ株式会社がスタートアップ、医療従事者、地方自治体、アカデミア、 民間企業を結び付け、ヘルスケア分野の問題解決に取り組むオープンイノベーション・ネットワーク“Innovation Infusion Japan, i2.JP”。
女性特有の問題解決に取り組むOiTrのデジタルサイネージ広告を利用して、卵巣がんの疾患啓発を行ったi2.JPのプロジェクトマネージャー*詫磨正史さんとディレクターの劉雷さんにお話を伺いました。

*取り組み実施当時の所属は、卵巣癌領域マーケティング

OiTrサイネージ広告をご利用いただきました「卵巣がんの疾患啓発プロジェクト」について、卵巣がんを取り巻く課題感について改めて教えてください。

詫磨:乳がんや子宮頸がんは早期発見のための検診が国によって推奨されていますが、卵巣がんについては、検診によって早期に発見され、生存率を改善したという明確なエビデンスがないことから、国が推奨する検診がなく、それが卵巣がんについてよく知られていない一因ではないかと考えています。

また、卵巣がんの初期は自覚症状がほとんどなく、症状がでてきても卵巣がん特有のものではないため、診断されたときにはすでに進行してしまっていたというケースも見られます。実際、弊社が卵巣がん患者さんを対象に実施した調査では、卵巣がんの受診につながったきっかけとして多かったのが「痛みがある」「お腹が張る」「尿が多い」というような症状を感じたというものでした1。日常生活の中でもありそうな「病気だと疑いにくい症状」が多いところも、早期発見が難しい要因だと考えています。

同じ調査の中で、症状が出てから医療機関を受診するまでの期間がどれくらいだったかについても調査したのですが、6割以上の方が受診するまでに半月以上経過していました1。そのため、事前に知識があれば「もっと早く受診できたかもしれない」「もっと前向きに治療に臨めたと思う」という声もありました。

これらの声を受けて、卵巣がんについて多くの人に知ってもらうことは早期発見や治療の満足度向上につながるのではないかと考え、疾患啓発に取り組むことになりました。

アストラゼネカが、今回の「卵巣がん啓発プロジェクト」のような疾患啓発の活動にも力を入れていらっしゃるのはなぜか、その想いを詳しくお伺いできたら嬉しいです。

詫磨:弊社では、「患者中心のビジネスモデルの実現」を掲げています。もちろん製薬会社なので革新的な医薬品を開発し、届けるということが第一にありますが、それだけではなく、啓発・診断・医薬品を届けた後のフォローアップなどの部分も含めて患者体験全体の問題に対して取り組むことが重要だと考えていることが背景にあります。

劉:“i2.JP”という我々の部門が設立された背景とも通じています。2019年に発出された弊社の5ヵ年計画では、2025年に向けて会社としてあるべき姿を設定する際、先ずペイシェントセントリック(患者中心)を我々の活動の中心に置き、その傘の上に “イノベーションを通じて患者さんの人生を変えるNo.1パイオニア企業になる”というビジョンを掲げました。

人生にコミットしていくというのは、治療だけではなく未病から気付き、行動変容、受診開始、治療開始と、ペーシェントジャーニー全体に関わるということになります。その中でおのずとこのような活動に対しても積極的に取り組んできました。

OiTrでサイネージ広告を利用した結果として感じられたことはありますか?

詫磨:今回卵巣がんの罹患率が高くなる層2、つまり「40代〜50代の女性」に対して、その世代の女性が多く利用している可能性のある施設へフォーカスして配信しました。卵巣がんという疾患の名前すら知らない方が多いので、卵巣がんという疾患自体を周知していくこと、そして気になる症状がある場合には婦人科を受診していただくことを目的としました。

ターゲットとなる年齢層がアンケートの回答者の中で一番多かったので、しっかり届けられた実感はあります。
また、PVは100万回以上あり、20万人以上の女性に届けられたということで、他に実施した取り組みと比較してもCPA(コスト・パー・アクイジション)は十分な結果だったと認識しています。

中山:確かに卵巣がんの疾患啓発はOiTrとの親和性はとても高いですし、OiTrの特徴としてナプキン利用者がサイネージで見た広告を覚えている方が多いという点があるので、詫磨さんが求めていた効果に対する親和性は良いのではと思います。

劉:まさしくそこだと思っています。今まで患者さんに向けた疾患啓発をやっていないわけではなく、テレビ広告や電車の中吊り広告、市民公開講座など様々な形で取り組んできた中で「なぜわざわざOiTrを使うか」というと、もっと絞ってターゲティングができるからです。

コンシューマーサービスとしては当たり前の指標であるCPAの考え方を、患者さん向けの施策で作れたのは大きなマイルストーンです。「どれだけのインパクトがあるのか」という議論の際、一回の閲覧に対する費用について定量的に議論ができたので、最終的に合意を得られました。

詫磨:そうですね。今回、成果がよかったのは、広告を見る環境やタイミングと、啓発の組み合わせがよかったのではないかと考えています。行動変容を促す際は、対象のペルソナをしっかり理解し、アプローチするタイミングを想定したうえでなければ良好な結果が得られませんよね。トイレの個室は、自分の身体を見つめ直すタイミング・場所だと思っています。心や体に目を向ける瞬間だからこそ、今回の疾患啓発とマッチしたのではないかと捉えています。

高橋:これまでディスカッションをさせていただいたところを活かして、OiTrは日々メディアとしての進化もしています。

中山:御社と疾患啓発を実施して以降にも、OiTrアプリで生理周期を入力できるようになったり、「いつでもオイテル」というメディアで情報発信をすることができるようになったりしています。
アプリの利用がナプキンを取り出す時だけでなく、生活の身近なものとして活用いただくことで、行動変容を追いやすくなることを期待しています。

詫磨:生理周期、不正出血などが指標になる疾患もあるので、そういった情報が入力できるようになると疾患啓発の可能性も広がっていきますね。

今後のOiTrに期待すること、求めることは?

詫磨:出稿をする際はクリエイティブにももちろんこだわっているので、実際に個室でその広告を見て考えたり、出稿環境を直接見られたりできればよかったですが、当然私は女性トイレに入れないので、その点は悔しかったです。

高橋:確かに男性が企画を進めてくださっている中でOiTrディスペンサーをお持ちしても、実際にトイレでどのように広告が流れるかはイメージしづらいですよね。

劉:テストブースを作ったり、VRコンテンツを作ったりするといいんじゃないですか?

詫磨:そのほかにも、ヘルスケアの観点からいうと、尿ってすごく重要な身体の情報を持っているので、トイレは健康観察の場になりうると思っています。
例えば尿から得られる情報とアプリを連動して、啓発および受診勧奨など、新しいことができたらと面白いですよね。もちろん1社では難しいので、我々i2.JPのオープンイノベーション・ネットワークもぜひ活用いただければと思います。

高橋:実は社内でもそういった可能性も検討していたのですが、おっしゃる通り1社でやろうとすると難しいことが多くて。ただその可能性はOiTrのチームも捨てきっていないので、生理とは別の視点、プラスアルファになることもお話しさせていただけたらと。

劉:今回の取り組みでは、女性本人に働きかけをしましたが、その女性の例えば親であるとか、子であるとか、違ったペルソナに対する広告というのも考えられますよね。

中山:少し調べれば情報が多すぎるくらいでてくるので、何を信じて何を選択するべきか悩みます。自分のことだけでなく子供や親のこととなれば尚更です。

高橋:そういった知識をつけてもらうための活動も広告という分野からやっていけたらと思うので、アストラゼネカ含むi2.JPのパートナー企業の方々ともディスカッションさせていただけたら嬉しいです。

本日はありがとうございました。

1.アストラゼネカ株式会社 卵巣がん患者意識調査 2022
2.国立がん研究センターがん対策情報センター[がん登録・統計]

アストラゼネカ株式会社

イノベーション・パートナーシップ&i2.JP
詫磨 正史 様・劉 雷 様

OiTr/高橋・中山


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